| 「中国ビジネスがブーム」となるまでの経緯
近年、新聞・雑誌などのマスコミで中国のビジネスが特集されることがつとに多くなった。
まず、それらの経緯を簡単に述べたい。
今から25年前に広東省深?市に経済特別区が作られた。それが今の経済大国中国の基礎を作ったといえよう。経済特別区は外国資本が工場を設立する際に工場の設立・運営面、税金面の優遇をすることで、経済の活性化、技術の導入、雇用の増大を期待した。それに対し、外国資本も中国の人件費の安さ・インフラの安さに飛びついた。
まずは香港や台湾企業、そして世界の大手電機メーカーをメインに中国進出が加速し、それに次いで1次ベンダー2次ベンダーの日系企業も中国に工場を設立し、これらのビジネスモデルは中国沿岸地域に広がり、一躍世界の工場となった。
香港と接する中国広東省の深?市は30年前までは人口約30万人しかいなかったが、現在の人口は500万人を超えている。
工業化に成功した中国のGDPは20年間で15倍以上増加した。
と共に、中国人の所得も増え、大金持ち、お金持ち、小金持ちが増えた。
彼らをターゲットとした消費マーケットへの販売が今の中国ビジネスブームの特徴と言えよう。
(筆者は日本企業が今までに中国に投資したブームを4つの時期に分けるが、今回の第4次中国投資ブームはそれまでの3つのブーム(製造業、及び製造業向け販売)と違い、中国国内の消費市場をターゲットとした投資が多いと考える。)
大都市での販売戦争
いまだに「中国の人件費は日本人の20分の一」という日本人がいるが、それは中国の内陸の話である。中国への販売に関しては、工業化した大都市のみが今われわれが注目している中国である。
つまり、消費市場への販売ということを考えると、市場は13億人いるわけではなく、ほんの一部の市場しかない。
しかし、その一部は(仮に20分の1としても日本市場の半分もある)日本人同様の可処分所得を持っており、更に市場にあふれる商品への考え方も、商品に対する情報慣れしている日本人と比較すればある意味未熟段階である。
そこにビジネスチャンスが生まれているのである。
その一例が自家用車である。
日本人がイメージする自国製の高級車はなんであろうか?セルシオかシーマか。
中国では、つい2年ほど前まではホンダのアコードであった。中国の自家用車市場のレベルが低いのではない。GM、フォード、VWなどそうそうたる車メーカーが中国で車を作っているなか、アコードは高級車の代名詞を勝ち取ったのだ。
なぜか?
他の外資系自動車メーカーは「中国は所得が低いから中級車の車を作ったほうが儲かる」と中国市場を見ており、一方のホンダは「中国で自家用車を買えるのは富裕者だ、中国だからといって高級車が売れないはずはない」と考え、アコードを高級車として生産・販売し中国市場の評価を得た。
高級車を持っている中国人の友人のほとんどはアコードに関しては詳しいほど、購入車種の選定の際にアコードは候補に挙がっている。
しかし、この2年で事情が変わってしまった。
中国のWTO加盟により、輸入自動車の関税が低くなり(以前は100%以上!)、BMW、ベンツ、セルシオなどの高級車が輸入されやすくなった。
それにより、また中国の消費者の見方も変わり、アコードは以前ほど高級車の代名詞ではなくなってしまった。
中国の大都市ではBMWやベンツやセルシオを見かけるのは福島県よりも多い。関税が安くなってもセルシオの価格は日本の8割増しの価格である。(ついこの前、フェラーリF40を見て「中国もココまで来たか」と感心し、その価格を知らないぼろぼろのタクシーがフェラーリに幅寄せしているのをして目眩がした。)
自家用車だけでなく、化粧品、衣類、食材、AV機器などでもこのような現象がある。
日本で一番売れているビールはアサヒだが、上海ではサントリー。今は日本ではもう見かけなくなったオーディオのサンスイは中国では高級機種としてバカ売れしている(ちなみに三洋は中国メーカーと同様の価格で販売されている)。
このように、ほぼ成熟し、固定概念が根強い日本の市場と比べ、中国の消費市場はまだ発達段階で、マーケティングによっては日本とはまったく違った反響を持ち、且つその購買力が尋常ではないのである。
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