中国工場移転の現状

はじめに
 日系企業が中国で工場を設立し、運営することが一般化してから約20年が経つ。
 1979年に経済特区が設立され83年から89年の間に、日系企業が華南地区での工場を運営を始め、1989年天安門事件後、本格的な投資ブームの中、多数の工場が進出し、アジア通貨危機を超え、2002年の日本製造業の景気が底をついたころにまた多数の製造業が中国に飛び出し、WTO加盟後中国国内販売に焦点をあてた新たなる展開がされている。
 20年前からは製造業メインであったが、現在は商社・サービス業などが上海を中心に今までにない数の企業が進出している。
 一時は中国で工場を作ることが日本の産業空洞化を招き、中国で工場を作る事が罪悪のように見られてた時代もあったが、現在の日本の製造業の景気を見ると、今のところ中国と日本の生産の棲み分けがうまく行っていると感じる。

 そして中国への工場新設はあらかた終了したとの見方も多くなった。
しかし、筆者は中国への工場移転は今後継続的に進むと考える。更なる競争激化と利益拡大のために中国への工場設立は止まらない。
 今後、中国で工場を設立する、しないにかかわらず、検討をはじめた日系企業に考え方の一つとして、本レポートを参考にしていただきたい。


1、日系工場の中国進出理由と現状
2、日系企業の中国生産移転の今後〜コストだけではない



1、日系工場の中国進出理由と現状
日系企業が中国で工場を作る理由は主に以下のとおりである。

  @顧客からの要求による進出
  A価格競争力をつけるための進出
  B日本では売上が減少しているのでとりあえず中国進出

  C中国を販売市場と位置づけての進出


 多くの企業が@Aであろうが、これも細分化される。

  セットメーカーが顧客であれば、もちろん製品価格の低下実現の他に、リードタイムの短縮、不良発生時の応対、日々の連絡などを考えれば今まで日本で取引のあった企業が同じ地域にいてくれたほうが良い。
 中国に製造拠点を持っていないと見積り依頼さえももらえない状況もある。
 また、今まで部品の一部を中国から購買し、日本での最終部品として出荷していたセットメーカーが、中国メーカーの品質の向上により中国からの購買比率があがり、部品から完成品(ユニット)を中国で生産した方が効率が良いという、販売先ではなく購買先が原因で中国に工場を造った例もある。
 前述に似た例ではあるが、主に食品加工業では、日本で原材料調達し、日本で加工、日本市場やその他輸出をしていた企業が、中国での原材料調達をし、中国工場で加工し、海外輸出とシフトする事で、コストダウンを図っている。

 Bの場合は、進出失敗例としての雛形のような件だが、成功している企業は多い。
 成功している企業のほとんどは部品加工業か中国との合弁による中国内販型企業である。
 中国内販型企業は主に日本ブランドを前面に押し出した食品や雑貨類の製造が多い。日本では無名の企業が中国では有名なブランドを新たに確立する場合がある。日本直接投資ではなく台湾経由の投資や、在日華人が起こした工場である場合も多い。一般的な日系企業はなかなか難しい進出の方法である。

 部品加工業の場合は、セットメーカーからすれば部品調達の裾野が広くなったといえど、まだ不足しがちである。成功している工場は初期投資が非常に少ない点で共通している。初期投資を少なくし、コストを抑え、香港や台湾の同業他社と同じ価格を提示すれば、新規でも受注をもらえる可能性が多い。日系セットメーカーの孫請け、曾孫請けとして受注を増やしている。逆に、失敗している例は気負いすぎて投資負担が多すぎ、コスト競争に耐えられなくなっている中堅企業が多い。

 Cは、最終消費商品を取り扱っている規模が大きい企業と技術的に高度な商品を製造している企業である。
 家電、AVIT、車関連企業や化粧品などの強力なブランドと中国企業では作れない技術を持った企業は、中国から輸出のための工場から中国へ内販するための工場へ転換している。
 また、豊富な人材の獲得と最終消費市場に近い点を考え、
研究開発機関をおく企業も多くなっている。
 中堅企業でも、最終消費市場ではなく工場向けの産業材を製造し販売している企業が多い。測定器やメカトロニクス関連が多く、販売先は日系はもとより香港系・台湾系・中国地場メーカーにも販売している。

 さて、御社は上記のいずれかに該当するだろうか?
 もちろん、上記の複合型もあり、特殊な例もあるが、概して上記で括れるはずである。


2、日系企業の中国生産移転の今後
 今後ますます、日本で製造していた製品を中国で生産するようになる。
 代表的な業種が車である。車産業は部品調達面から言えば裾野が広い。完成品メーカーの中国生産に伴い1次サプライヤーがこぞって中国に工場を立ち挙げている。今後、2次、3次メーカーが進出するであろうが、これらの裾野産業が日本から中国に集結するまでまだ先があると思ってはならない。

 部品調達の裾野が広い商品の一つに、車ほどではないが、複写機がある。現在華南地区には日系のほとんどの複写機メーカーが進出し、現地で調達を行っている。ここまでなるのに10年以上の年月が掛かった。
 車産業はどうであろうか?10年は掛からない。5年も掛からない。今現在でも輸入部品は多いが、現実に中国で車は何十社のメーカーが量産しているのである。
 つまり、裾野はある程度固まってきつつあるのである。
 パーツサプライヤーからすれば、完成品メーカーの中国進出にキャッチアップしなければ、日本から生産拡大として中国に工場を設立した顧客を中国市場で取られてしまう。競争相手はたくさんある。既存の車部品を製造している中国メーカー、台湾、韓国メーカー、更に欧米メーカー、そして、複写機やAVIT業界ですでに中国進出している日系メーカーさえも業種の垣根を越えてを超えてライバルとなるのである。
 すでに、今まで複写機の部品を製造していた日系中国工場は、現地で車メーカーの部品製造をしている。これは新規に営業をかけたのではなく、顧客のほうから探し当てて依頼がきた案件である。

 これと同じような状況が、今まで日本で製造されていた(日本でないと作れないと思われていた)高技術製品にも当てはまる。
 今までは複写機や携帯電話などの中核部品は輸入で頼っていたが、完成品メーカーも物流費・加工費・リードタイムなどの関係で中国生産を始めている。それに伴い、半導体装置や精密測定器の部品も中国で生産するようになってきた。
 今まで、「中国に出る必要のない」製造業も「技術があるから中国で生産しなくても良い」製造業も、中国での生産を考えなければならない時期に来ている。
 現状は日本国内の製造業が活況を浴びているが、その一部は中国特需である事を忘れてはならない。

 日本ではこの10年間に淘汰されるべき製造業が淘汰され、現在、生き残った供給側(製造業)が中国特需という大きな需要とのバランスが良く保たれているだけである。
 技術・生産効率・品質の面で優れている生き残った製造業も、現状の流れを見る限り、中国での生産を今から検討すべきであると思う。
 価格での競争だけではなく、中国に市場があり、最終完成品メーカーがある限り、情報の取得、サービスの提供、リードタイムの短縮の面で中国に拠点を作る必要があり、また、中国に進出しなければ現地企業に顧客を奪われ、中国に進出する事で新たな顧客を捕まえられるであろう。

(C) C.A.P. Co.,Ltd. All rights reserved.    MAIL: takashi@d-china.co.jp
TOPへ
移動情報 治安情報 中国レポート 中国最新情報 天気情報 為替レート換算
中国各地域概要について 各地域概要比較 中華人民共和国概要
広東省概要 華東地区概要 広州市概要 深セン市概要 東莞市概要 香港概要
業務概要
ビジネスセンター 工場設立支援 工具・測定機販売 オフィスアウトソース オーダー品販売 営業・購買代理
保税区ビジネス 保税区物流 保税区展示販売 部品・金型・冶工具販売 会社概要 戻る
戻る 次へ