中国工場設立の見落としがちなポイント
中国で工場を設立する際のマニュアルは多くの出版物があり、ここでは割愛させていただく。それらの出版物をお選びになる際に、いかに留意されたい。
・華東地域と華南地域で状況が異なるので、それに言及している
・法的根拠と実際の運営の両方を説明している
・2つ以上の出版物を参考にする
・専門家が執筆した物である。マスコミに出てくるコメンテーターが中国投資ブームに乗って執筆した物は詳細な部分(実際に必要とする部分)で相違がある場合がある。
本項では上記の専門書ではあまり記載されていない中国で工場を設立する際のポイントで、弊社のサポート業務の経験上、必要な点を記述。
・物流費
製造コストの削減に終始し、物流費の把握・コスト削減がないがしろになっている場合が多い。輸出入を伴う場合が多いので物流費の中に様々な費用が発生する。納期トラブル時など海外に航空便を出したり、駐在員が海外顧客までハンドキャリーしなければならない場合もある。
・仕入れ
日本のように、品質が良い品物が納期どおりに入荷する事は万事ではない。
納期遅れは当然の事、とまでは言えないが、中国の仕入先の問題だけではなく、輸入品の通関遅れなどの要因もある。
価格もFOB価格かCIF価格か、また、税込みか、受け渡し場所がどこかなどによって変わる事にも留意。
・設備
中国だから、中古設備で良い、という考えが一般的であり、確かにその考えは正しいが、中国で最新設備で加工するメリットもある。
最新設備の導入は、同業他社との比較においてアドバンテージの獲得などもあるが、減価償却が早いという点が挙げられる。日本では8時間稼動、1ヶ月20日稼動、残業を少しくわえても1ヶ月180時間程度の稼動。それらのオペレーターの給料も必要。中国ではオペレーターのコストは圧倒的に安いので、稼動を三交代で21時間稼動、1ヵ月25日稼動で500時間以上となり、稼動すればするほど設備の投資回収は早くなる。
さらに、消耗品などを中国製品に変えてコストダウンをする方法もあるが、値段の分だけ消耗度が激しく、逆に品質のばらつきにつながる可能性もあるので注意されたい。
・駐在員の安全とストレス。
日本と比べ、治安はよくない地域である事は認識が必要。
上海や北京や広州では地下鉄やバスで通勤をする日本人は一般的だが、それ以外の場所では非常に少ない。駐在員用のドライバー付き乗用車は必須。
更に、病気の時、トラブルにあったときなど生活への配慮も必要。また、異国の地で国民性の違いから来るストレスも徐々にたまって行くこともあり、日本への一時帰国の規定を作ったり、工場設立場所選定の際、日本人の暮らしやすさも考えること。
自社の社員だけでなく、日本から来る顧客のことも考える必要がある。
工場の地代は安いが、日本料理屋もなく、ホテルも2つ星しかないという事では、出張・駐在における日本人のストレス、更に安全が確保できない。
・日本本社との棲み分けの中・長期戦略
最後に、中国への工場を設立する場合、日本と中国の製造の棲み分けをどうするかを考慮する必要がある。「新製品の立上げは日本で、量産は中国で」という考えも、業種によっては既に崩壊し、「新製品の立ちあげ・量産まで中国で」という図式も既に成り立っている。
中国工場の景気は良いが日本本社の業績が悪く、中国工場が損失補填をし続け、結局は潰れてしまう企業や業績の良い中国工場が香港系・台湾系に買収され、本社が潰れたケースもあり、中国工場設立が単なる延命措置でしかなかった場合もある。
