はじめに
現在、全ての製造業が中国との関わり合いを考えなければならない時期にある。
もちろん、中国に工場を設立した方がよいという事ではなく、自社商品を中国市場との関わり合いに焦点をあて調査をする必要があるという事である。
製造している商品について中国と全く関わりが無いのか、有るのかを精査し、それに対し、短期的にせよ、中期的にせよ、事業の方向性に織り込まなくてはならない。
繊維やAV機器のように中国に拠点を持って製造しなければ生き残れない業界がある一方、保護貿易に守られて生きながらえている業界もある。
しかし、日本の行政がいつまでそれらの業界を守るであろうか?既に品質的には同等に近く、価格的には優位に立つ中国製品から政府は高関税の課税や制限枠の設置、セーフガードの発動などでそれらの業界を保護しているが、中国サイドから「WTOに加盟して、貿易の壁を取り払っているんだから日本も貿易の障害を取り払うべきだ」との声も出てくる。既に一部の食品(中国からの輸入品に制限をしている物品)ではそのような事態が起こってきている。
また、建設業のように最終ユーザーが日本に有り、商品自体が大きい物などはどうだろうか。資産デフレの中、建設コストの低下に対する圧力が強まり、資材面で中国製品は大きな貢献をしている。また、中国市場に目を向ければ、日本のバブル時期以上の建築ラッシュにうまく乗る方法があるかもしれない(バブル崩壊後の後処理の問題はあるが)。
何かしらの競争原理が働いている商品においては、中国との関わり合いを考える必要があろう。
1、様々な中国との関わり合い
製造業が中国ビジネスをするといえば、中国で工場を設立することが一般的にイメージされるが、業種によって、または各企業の状況によって様々な関わり合いがあり、それがもたらす効果も異なる。
@ 日本で作っている商品を、中国で販売する ⇒ 売上拡大
A 中国で工場を設立して、中国で販売する ⇒ コスト削減・売上拡大
B 中国で工場を設立して、日本(既存客先)に販売する ⇒ コスト削減・売上維持
C 中国から部品を買って、日本で商品の一部に組み込む ⇒ コスト削減
D 中国から消耗品を買って、日本の副資材のコストを削減する ⇒ コスト削減
と、多面的な関わり合いがある。
理想的には@の場合が1番都合がよい。今までと変わらない品質を維持し、大きな市場に食い込む事が出来る。しかし、コスト的に中国商品との競争、高価格に対する中国市場の需要、更に回収を考えると難しい。日本企業の中国消費マーケットに対する誤解はここにあり、全ての物(品質がよく、値段が高い消費財)が中国の大都市の中・高所得者に受け入れられると思っているのである。
この場合で成功しているのは、一部の原材料や高精密部品などの生産財メーカー、建築機械メーカー、消費者のニーズ(中国人の嗜好)を的確に捉えた一握りの消費財だけである。
ABは工場という拠点を設立するメリットとデメリットが大きい。
品質の維持、投下資本の回収などと戦いながら運営しなければならない。市場調査が最も必要とする場合でもある。
Cは今までの生産商品に組み込める物があるか、検討する事から始まる。基本的に中国の商品は日本の商品と比べ品質が悪いと認識してかまわない。しかし、いつまでも中国製を「安かろう悪かろう」で考えていたのではコスト削減が追いつかず、競合他社に負けてしまう。MADE IN CHINAと一言に言っても日系工場から台湾系、欧米系、韓国系、中国系、香港系と様々な品質と価格レベルがある。実際に中国に視察しに行き、品質のチェック、コストの精査を行うだけであるから、比較的導入しやすい。しかし、実際に取引が開始するときはもっと多面的に管理を出来るやり方を考えなければならない。
Dは販売する商品の品質に直接影響する物ではないので、中国との関わり合いを会社の利益に反映させる簡単なやり方である。従業員の作業着を直接購入したり、記念品をまとめてオーダーして作らせたり、梱包・包装材などの副資材を調達したりと様々なコスト削減が考えられる。
中国製商品(もちろん中国製だけとは限らないが)がコストを武器に品質的にも日本製にキャッチアップし、日本の行政もいつまでも保護出来なくなった時に行動したのでは遅い。何らかのつながりを持ち、常に中国状況をウォッチしていく事が必要ではないだろうか?

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